NFT海外最新レポート(1)
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NFT海外最新レポート(1)

【公式】ディーカレット ブログ

1. はじめに

NFT(ノン・ファンジブル・トークン=非代替性トークン)は、ここ数年に渡り大きく発展を遂げ、時代の潮流を捉えてきました。その中でも「CryptoPunks」と「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」の注目度と価値の上昇に伴った、プロフィール画像(PFP)プロジェクトに焦点があてられています。

CryptoPunksとBAYCsの価格高騰…

…PFPプロジェクトの波を巻き起こした

これらのプロジェクトは、NFTが可能にする創発的な特性やふるまいの一部を示しています。第一に、NFTは唯一無二の資産に対して、真のデジタル所有権を提供します。ユーザーはこれらの資産を実際に所有していると確信するため、自分のデジタル・アイデンティティを表現する手段として使用することができ、しばしばそのように利用されています。ツイッターのようなWeb2プラットフォームでさえ、NFTをプロフィール写真として取り入れました。そして、これらのアバターは物理世界と同様に、ステータス・シグナル、ゲーテッド・コミュニティ、社会的な階層、その他の関連する行動など、社会的な特性を生み出しています。また、所有権はローデータそのものにとどまりません。例えば、Bored Ape Yacht Clubのメンバーは、自身の類人猿画像の知的財産権を所有しているので、ビールブランドコミック、さらにはバーチャルバンドの立ち上げも許可されています。

第二に、これらの資産はプログラム可能な性質を持つため、一般的に現実世界の物体では不可能な、幅広いケースでの利用が可能となります。NFTは所有者のアクションに反応したり、外部のトリガーに反応したり、時間の経過とともに変化するようにプログラムすることが可能なのです。また、ロイヤリティを埋め込むことができるため、クリエイターはコミュニティの将来のアップサイドに参加することができます。これらすべてがブロックチェーン上で行われるため、クリエイターはオーナーを特定し、エアドロップを通じた報酬付与や、将来のプロジェクトへの早期アクセス権を与えることが可能になります。

これらの機能を組み合わせることで、コミュニティメンバーが草の根的な活動から価値を創造し、資産の需要を高め、クリエイターには販売ロイヤリティを通じて高い収益を与え、またこれらを利用してプロジェクトのスコープをさらに拡大させられる、という好循環を生み出せるのです。

実際、PFPはNFTの定着と実験の最前線にあり、過去最大のNFTバーティカル市場となっています。しかしながらPFP以外にも、ジェネレーティブアート(一定のアルゴリズムのもと、プログラムによって生成されるアート作品)、代替不可能なメタバースの土地、インタラクティブNFT、NFTとしての異なる形態のメディア、NFTの金融化など、数え切れないほどのNFTに関する実験が、カンブリア爆発的に行われてきました。

NFTのカテゴリー別時価総額

Source: NFTGo

アンバーでは、メタバース(「リアルタイムで相互運用可能な没入型デジタル体験」と大まかに定義された概念)は必然であり、NFTはこれらの仮想世界の重要な基本要素であると考えています。このレポートでは、NFTの可能性に革新をもたらすいくつかの興味深いプロジェクトと、成長するNFT空間をナビゲートするために、読者が使用できるツールやフレームワークについて触れています。複数のブロックチェーンにまたがるNFTプロジェクトは、膨大かつ急速に成長しているため、主にイーサリアムベースのプロジェクトに焦点を当てています。

2. 土地の争奪

新興のメタバースで重要なのは「ユーザーはどこに集まるのか?」ということです。人々が集まる空間を所有するために、多くのプラットフォームの仮想土地の売上はこの1年で上昇しました。おそらく、この仮想土地ラッシュの最大の恩恵を受けたのはDecentralandとSandboxの2社でしょう。どちらも無料で遊べるプラットフォームですが、トークン化された土地の数量には限りがあります。

デジタル土地の争奪

土地を購入する理由のひとつに、メタバースの体験やイベントの開催があります。しかし、DecentralandとSandboxはどちらもまだ比較的新しいプラットフォームであり、高いトラフィック負荷に対応するインフラを構築できていません。例えば、サムスンはGalaxyスマートフォンの発表イベントをDecentralandで開催しようとしましたが、ユーザーがアクセスしようとする中で技術的な困難に直面しました。Decentraland の共同設立者は、このプラットフォームの最大同時処理数は 2500以下であると示唆しています。サーバーインフラが確立されている既存のオープンワールド系プラットフォームでさえ、数百人のプレイヤー環境を処理するのに今も苦労しています。モバイル専用のバトルロイヤルゲーム「Free Fire」は、各アリーナを50人に制限し、「Roblox」はベータテスト時のみ最大700人を処理するようにしています。

その結果、技術スタック全体を再構築する代わりに、既存のインフラ上でのオープンメタバースというコンセプトに沿って短期的な開発サイクルを回すことを決定したプロジェクトもあります。このようなプロジェクトの一例が、クリプトコミュニティで注目を集めている「NFT Worlds」です。

NFT Worlds($worlds)

NFT Worldsは、マインクラフトのオープンソースエコシステムの上に構築された、コミュニティ主導のメタバースプラットフォームです。マインクラフト上にオープンワールドを構築することで、クロスプラットフォームのサポートと、既存のワールド構築ツールを活用できます。

土地面積、水域面積、年間降雨量、木材や金属の資源など、39のカテゴリーにわたるメタデータを持つユニークなワールドが、合計10,000ワールド存在します。これらの特性は、各ワールドのレアリティを決定し、異なるゲームプレイ要素に利用できます。ワールドのオーナーは、既存のマインクラフトランチャーや、今後リリース予定のNFT Worlds Launcherを使用して、所有するワールドの構築と編集を行うことも可能です。

また、ワールドのオーナーは自分の土地をカスタマイズし、同時に最大600人程度のユーザーをもてなすことができます。さらにNFT Worldsは、マルチプレイヤー・ボイスチャット、ユーザーが作成したPlay-to-Earnゲーム、カスタマイズアバターのサポートを、2022年Q2までに開始することを目標としています。これらの機能により、このプロジェクトはメタバースイベントの開催を希望する、幅広いNFTコミュニティから関心を集めています。NFT Worldsの土地販売総額は2021年10月以降大きく伸び、ここ数ヶ月では、DecentralandやSandboxをも上回っています。

NFT Worlds 直近3ヶ月の月間取扱高が2,000万ドルを突破

Source: Dune (@metaland) as of 28 February 2022

これまでに、RTFKTZipcy's SupernormalWVRPSなど、100以上のNFTコミュニティがNFT Worldsの購入を公言しています。すでにカスタマイズされているWorld #9856 など、特定のワールドをWebブラウザで誰でも閲覧できます。

NFT Worldsのオーナーは、$WRLDトークンを2回に分けてエアドロップで受け取ります。また追加のトークンを得るために、土地のステークやレンタルも可能です。$WRLDの最大供給数は50億トークンで、その85%を5年で配布する予定です。

$WRLDの配布スケジュール

Source: NFT Worlds. Assumes staking and P2E rewards launch on July 2022.

チームは最近、$WLRDを中心とした決済レイヤーを立ち上げました。今後予定されているPlay-to-Earnや報酬の仕組みを含め、エコシステム内の主要な交換媒体として使用される予定です。取引手数料も$WLRDで支払われるので、プレイヤーは他のトークンでコスト管理を行う手間から解放されます。

しかしながら、最近のNFT Worldsの宣伝にもかかわらず、その土地のインプライドバリューと$WLRDトークンの完全希釈化後評価額は、依然として、トップ2つのクリプト・ネイティブなオープンワールド・プラットフォームよりも桁違いに低いのです。

NFT Worldsと他のメタバースプラットフォームの比較

Source: CoinGecko, OpenSea as of 28 February 2022. FDV stands for fully diluted valuation.

確かにNFT Worldのやり方にはデメリットもあります。例えば、『Minecraft』の開発元であるマイクロソフト社はプロジェクトを閉鎖する可能性があります。NFT Worldsチームは、マイクロソフトのIPチームと緊密に連絡を取り合い、現在のところ問題は発生していないと述べていますが、オープンワールドは設立チームのコントロールの及ばないところで、不適切な行為が行われるリスクをはらんでいることもあるのです。

それでも「これからのWeb3は、Web2のレール上での繰り返しの開発・構築を行っていかなければならない」という私たちの主張に対する一つの指標として、このプロジェクトを注視しています。私たちは、オープンなメタバース・プラットフォームは、最終的にはより分散化された技術スタック(例えば、コンテンツ配信、サーバー、ストレージなど)を持つようになると考えていますが、これらはまだ完全に構築されていません。その間にNFT Worldsのようなプロジェクトが、リアルタイムで、インタラクティブ、コミュニティ主導のオープンメタバースがどのようなものであるかをよりよく反映していくでしょう。

3. NFTが実現するDAO

分散型自律組織(DAO)とは、共通のミッションや価値観によって組織された集団のことです。通常、これらのDAOはBitDAO($BIT)、ConstitutionDAO($PEOPLE)、Friends with Benefits DAO($FWB)のような代替性トークンの上に形成されています。NounsDAOは、NFTの文脈でDAOを形成するケーススタディです。Noun(ナウン)は人、場所、物から成る32x32ピクセルのキャラクターで、毎日ランダムに生成されオークションにかけられます。Nounsの主な特徴は、色付きの四角いメガネとピクセル化されたアートワークです。

A Gallery of Silly Nouns

NounsDAOはオープンソースプロジェクトであり、Nounsを作成するコードや作品そのものはパブリックドメインとして公開されています。オークションの収益は100%NounDAOのトレジャリーウォレットに直接送られ、各Noun NFTの所有者はウォレット内の資金の使用に関して1票の投票権を持っています。

最初のNoun NFTは2021年8月9日に613.37ETHで落札され、当時はおよそ190万ドルの値がつきました。その後、価格は 24.2ETH〜313.69ETHで変動し、今年に入ってからは1Nounあたり80ETH前後で安定しています。現在トレジャリーウォレットには2万ETH(本稿執筆時点で6000万ドル程度)以上があり、NounsDAOはスーパーボウルのコマーシャルにメガネアイコンを起用させたり国際宇宙ステーションにNounを送り込んだりと、Nounと文化との関連性をさらに強固にするための創造的(そして時には荒っぽい)提案にその資金を使用しています。

初期の高騰以降はNounsの価格は安定して推移している

Source: Dune (@aaaaaaaaaa)

ライセンスがパブリックドメインであるため、既存のプロフィール写真を「Nounファイル化」するアプリケーションや、次のNounとなりうるものを生成しようとするウェブサイトなど、コミュニティ主導のさまざまな取り組みや派生アートワークがエコシステムの中で誕生しています。

NounsDAOは、コミュニティ主導によるブランド構築のためのエキサイティングな試みであり、NFTがもたらす社会的な有用性を反映しています。多額の資金を持ち、熱心で緊密なコミュニティを持つNounsプロジェクトは、今後も目が離せない存在です。

4. ユーティリティとしてのNFT

NFTのメインストリームは、コミュニティ(BAYC)、アート(Fidenza)、ゲーム(Axie Infinity)のプロジェクトを中心に語られています。しかしNFTのユニークな特性を活かして、ユーザーに有用性を提供しようとするチームは数え切れないほどあります。

点灯したテスラ

Chris Cassanoは自分のTesla Model 3をNFTに接続し、NFTの興味深い使い方を紹介しました。ブロックチェーンオブジェクトを通じてコンテンツ、ソフトウェア、データへのアクセスを誰でも許可できるLitプロトコルを使い、特定のNFTを所有する人なら誰でも、ライトの点滅、車のロックとアンロック、エンジンの始動など、自身の所有するテスラをコントロールできるようにしました。

NFTを使ったテスラの制御

Source: Github (@glitch003)

NFTを車のキーとして使用することの是非は議論が分かれるところです。しかしこの実験は、NFTが現実の世界にもたらす有用性を示しています。例えば、Airbnbのようなプラットフォームでは、ゲストに期限付きのNFTを利用させることで、ホスト宅へのアクセスを許可させられるでしょう。ゲストはアクセスを保証され、ホストはゲストの滞在ごとにパスワードを変更する手間を省くことができます。

Superfluid ストリーミング

Superfluidは、サブスクリプション、給与、定期的な報酬など、プログラム可能なお金の流れを実現します。その最新のアプリケーションの1つは、Ethereumアドレスにトークンを直接送る代わりに、NFT上でスーパートークンを送り続けています。そのためNFTの所有者が変わると、新しい所有者が自動的に定期支払いを受け取れるのです。この機能は、プログラム可能なキャッシュフローにデザインの拡張性を与えました。例えばSuperfluidチームはメタバースの不動産に対して、定期支払いによる家賃の請求を提案しました。その物件が売却された場合、賃料のキャッシュフローは、自動的に新しいオーナーに引き継がれます。また、これらのNFTを担保にしたローンを組み、そのローンがキャッシュフローを経由して自動的に返済されるようにできます。

メンバーシップとアクセス

NFTを会員証として使用したゲートアクセスは、いくつかの組織で試みられています。NBAプレイヤーのSteph CurryやJJ Redickが所属するLinksDAOは、NFTで認証された会員制のゴルフ&レジャークラブを作ろうとしています。Flyfish Clubも同様に、NFT保有者専用のプライベートダイニング・クラブの設立を目指しています。Coachellaのイベントに生涯アクセスできる10個のNFTキーは、5万5,000ドルでオークションにかけられました。

NFTによる会員制クラブは、従来の方法に比べていくつかの利点があります。

第一に、多くの会員制クラブとは対照的に、会員は他の会員(匿名を選択する会員がいる場合はウォレットアドレス)を簡単に検索し特定することができます。第二に、現会員はNFTをセカンダリーマーケットプレイスで転売することができます。これは従来のほとんどの会員権では不可能な機能でした。リセールバリューのあるこれらの会員権に、ユーザーはより多くの金額を惜しまず支払うでしょう。またセカンダリーマーケットで貸し出すこともできますので、通常は消費するだけの会員権を、現金を生み出す資産に変えることができるのです。最後に、これらはすべてブロックチェーン上で行われるため、会員の確認と認証は透明性があります。

本レポートは全3回で構成されています。第2回・第3回目の記事は下記をご覧ください。

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投稿主体/著者:By Amber Group Research Team
翻訳:松本 和樹
編集:奥津規矢
原文:Non-Fungible Trends


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